「うちの鍵、なんだか古そうだな」と感じている方もいるかもしれません。特に長年同じ家に住んでいる場合、鍵も当時のままということが少なくありません。古いタイプのシリンダー錠は、現在の防犯基準から見るとセキュリティ性能が低いものが多く、犯罪リスクを高める可能性があります。では、古いシリンダー錠は具体的にどのような危険性を抱えているのでしょうか。古いシリンダー錠が持つ最大の危険性は、「ピッキングに弱い」ことです。特に日本の住宅で1990年代頃まで広く普及していた「ディスクシリンダー錠」は、構造が比較的単純なため、特殊な工具を使ったピッキング手口に対して脆弱です。熟練した者であれば、わずか数分、場合によっては数十秒で開けてしまうことも可能と言われています。インターネット上にもピッキング方法に関する情報が出回っており、悪意のある人物が容易に技術を習得できてしまう現状があります。また、古いシリンダー錠は、鍵自体の「耐久性」も低い場合があります。長年の使用により、鍵本体や鍵穴内部の部品が摩耗し、スムーズに回らなくなったり、鍵が折れやすくなったりすることがあります。不具合が生じた鍵は使い勝手が悪いだけでなく、無理な力を加えることでさらに状態が悪化し、最終的に鍵が開かなくなってしまうリスクも伴います。さらに、古い鍵は「合鍵が簡単に作れてしまう」という側面もあります。鍵番号が刻印されている場合、その番号から合鍵が作れてしまうリスクは、古い鍵でも最新の鍵でも同様に存在しますが、古い鍵の場合は、対応できる鍵屋さんやホームセンターが多く、また、合鍵から合鍵を作製しても比較的動きやすい場合があるため、鍵が悪意のある第三者の手に渡った際のリスクが高まる可能性があります。これらの危険性を踏まえると、古いタイプのシリンダー錠を使用している場合は、防犯対策として非常に脆弱であると言えます。現在、空き巣犯の手口はますます巧妙化しており、古い鍵を使用している住宅は狙われやすい傾向があります。